日: 2008年7月25日

柏槇の木

このところ、庭師さんたちが3人ほど来てくれているのだが、彼らとのやりとりが面白い。
親方が、私のいない所で「あの木を伐れば、全体がすっきりしてくるんですが、、、」と云ったらしい。
それはこの辺には珍しい柏槇の木で、私が子供の頃から池の端にずっと立っている。しかしその場に向かないのか、昔からほとんど育っていない。五葉松の後ろにあるのだが、なるほどそれを伐ればすっきりした庭になるのは確かだと私も思う。そこで、私は責任転嫁じゃないけれど、「父に話してみてくださいよ」と庭師の親方に云ってみた。ところが親方は、「それは絶対できません」と云う。なぜか分からないまま、試しに私は父に訊いてみた。「あの木、伐ってもいいなかぁ」と、軽く。しかし父は即座に「昔からあるんだから、伐るな」と答えた。庭師の親方は、たぶんその答えをいつか父から聞いたのだろう。仏教に、木を伐る理屈はない、と聞いたことがあるが、父の即答はそれを想わせた。庭師の求める美と、自然について、私は急に考え込んでしまったのである。