あんまり雪月花の更新がないので、ご心配のメイルを戴いてしまった。大丈夫、元気でおりますのでご安心ください。じつは11月末に講演でハワイに出かけたため、そのまえの執筆が立て込んでしまった。「文学界」の短編連作の4作目を仕上げ、そして連載エッセイを幾つか書いているうちにお葬式も続けて出来、あれよあれよという間に出かける段になってしまったのである。庭の百日紅の枝下ろしも11月中に終えたかったのが終わっていない。それにしても、百日紅の枝下ろしとハワイの樹木の違いは呆れるほどである。今回の渡航は、天台宗のハワイでの開教35周年記念講演のためだったのだが、ハワイという異境で仏教を説き続けた荒良寛師のご苦労が偲ばれた。それはまるで、百日紅をハワイで育てるようなものではないか。むろん、そこでは剪定も不要になる代わり、サルが滑るような木肌にはならない。そんな百日紅を以前静岡県で見たことがあるのだが、それはそれで美しかった。檀家制度も成り立たないフロンティアでの仏教は、じつに実相無相を感じさせたのである。