先月、お寺の駐車場に16メートルの高さの支柱を立て、鯉のぼりを立てた。3匹の鯉と吹き流し、矢車のセットは、じつは総代の役員さんが若い弟子が入ったことを喜び、寄付してくださったのである。真鯉が10メートルあるから、16メートルの杉の支柱は妥当なのだが、これがなんと本堂の縁の下に仕舞われていた。よくこんな見事な木があったものだと感心したが、立てる段になると感心してばかりはいられない。コンクリートの電柱の素材を地中に2.5mも埋め、地中では横軸でも固定し、地上には同じ長さだけ残してそれに杉の柱を金具で添わせる。むろん、電柱を立てるプロに来てもらい、はしご車も使っての仕事である。責任感の強い総代さんが毎朝5時に風と鯉のぼりの様子を見にきてくれたお陰で、何度か絡まった吹き流しや鯉も、破れることなく無事に端午の節句を乗り越えることができた。ああ、めでたい。しかしあまりにも苦労して上げた鯉だし、旧暦の5月5日までこのまま置こうということになった。今日も風が強く、吹き流しが支柱や紐に絡まっている。大丈夫かと、つい案じてしまう。腹の中を風が吹き抜ける鯉が羨ましい。「虚懐天真を養う」とは、よく言ったものだと思う。