どうにも奇妙な話になってきた。3月11日の地震からまもなく、(遅くとも11時間後には)炉心溶融が起こっていたらしい、と2ヶ月後になって言ってきたのだが、これはいったいどう受けとめればいいのだろう。しかも2号機、3号機も同じようにメルトダウンしている可能性が高いそうだ。
2ヶ月ものあいだ解らなかった、というなら、これほど頼りない素人集団もいないと思ってしまう。いや、解らなかったのではなくて、知っていたけど隠していた、というなら、これはもう金輪際許せない。
世界に注視されている福島第一原発の動向だが、今や日本の威信がこの事故の収束にかかっているのである。
もう、東電に任せるのはやめませんか?
そう思うのは、私だけではないはずである。
じつは昨年の6月17日にも、福島第一原発の2号機で電源を喪失し、給水ポンプが止まって原子炉内の水位が2m低下する事故があった。しかし東電は、この事故の真相についても、福島県内の市民グループが申し入れ書を出して初めて応じたのである。
今回も、事故後の情報公開の不備は、国民をなめているとしか思えない。すでにこの問題は、一企業、しかもこのような隠蔽体質をもつ企業に任せられる事態ではないはずである。
双葉町の人が地震当日、午後3時15分頃、恐怖を覚えるほどの爆発音を聞いている。今から思えば、これは原子炉本体からタービン室への配管の破裂ではなかったか、という気がする。しかしこの音についてどこかで議論された形跡は、少なくともマスコミでは目にできなかった。この音ごと、東電は隠滅しようとしたのだろうか?
アメリカのCNNは、水素爆発が連鎖的に起こったとき、「東電がまたウソをついた」と憤りを隠さなかった。クリントン国務長官は「日本の情報は混乱していて、信用できない」と異例のコメントを残している。
イギリスの新聞は、「事故への不安が高まっている背景に、東電の隠蔽体質がある」とそのままズバリ書いている。また「東電は、事実を伝えるということに関して堕落の歴史をもつ」との文章も見える。 ドイツはもっと手厳しい。救済活動チームを早期に引き上げあげさせた挙げ句、「日本政府は事実を隠蔽し過小評価している」と言った。また物理学が専門のメルケル首相も「日本からの情報は矛盾している」と繰り返した。
事は東電という一企業の問題にとどまらない。今や、日本という国の信用が、原発の確実な収束という一事にかかっていると言っても過言ではない。
賠償や一時帰宅、そして計画的避難など、重要な案件が津波のように押し寄せている。むろんどれも疎かにできない問題なのだが、この際は原発の収束に国がどれだけ力を注ぐのかが最も重大である。
福島第一原発に直接は関係ない三菱重工業、三菱ケミカル、日本郵船などの協力も仰ぎ、この国の総力をあげて収束を目指していただきたいのである。
もう一つ、先日の道路除染作業の動画をご覧になった方から、なんとかこんな機械が使えないものかと提案があったのでご紹介したい。