このところ、いろんなことがあった。いや、すべては進行中なのだが、この時期に いろいろ集中してしまったのである。
まずご報告したいのは、新たに原発の被災町村のための、基金ができたことである。むろん国や東電から、必要な賠償や補償はしていただかなくてはならないのだが、どうしても行き届かない処はあるだろうし、そこに手を差し伸べたい。そう思っ てお金を寄付したいと思っても、赤十字ではいつどこに届くのかも見当がつかない。
そういう声を耳にすることが多く、有志が立ち上がったのである。もちろん、県にももっと大規模な基金が創設されるはずだし、大きなことはそちら で実施していただいたほうがいい。当初、想定されるのは、子供や若者への支援ではないかと思い、一応、登記名は「一般社団法人 ふくしま原発避難 子供・若者支援機構」としたのだが、避難した 場合には限らないし、各町村の首長さんなどの要望に応じ、できるかぎり柔軟な対応 を心がけたい。
ともあれ、いつまで続くか分からないこの福島県の被災者の「いのち」を支えたい、ということから、一般名は「たまきはる福島基金」とした。「たまきはる」というのは、万葉時代からの「いのち」の枕詞である。
ご寄付は大歓迎だが、そういう関心でなくとも、Web上のサイトを覗いてみていただきたい。
(http://www.osyf.or.jp/)
私が理事長ということになってしまい、些か困惑しているのだが、乗りかかったフクシマ船だし、なんとか無事に船出させたい。
一応、5年間で5億円を目指しているが、できれば上方修正しながらどんどん支援もしたいと思う。ご協力を、伏してお願いする次第である。
またもう一つ、今年11月11日から3日間開催される「ふくしま会議」のほうも、共同代表の一人ということになってしまった。「福島で生きる 世界と生きる」をスローガンにしたこの会議は、主に福島大学を会場にした幾つもの会議と、13日には各 地の同時多発的な会議が連動する。世界の叡智を集め、しかもそれを世界に発信しようという試みである。まもなく参加希望などを、新聞その他で募る予定だが、こちら もすでにHPが開設されているのでご覧いただきたい。
(http://www.fukushima-kaigi.jp/)
民俗学者の赤坂憲雄氏をはじめ、福島大学からも清水修二副学長、山川充夫先生、 奥会津書房の遠藤由美子さん、南相馬の高橋美加子さんが共同代表を務める。
災難の渦中にある福島をフロンティアに、という目が離せない会議なのである。12日には各種分科会と同時に「わかもの会議」も開かれるが、是非ともご参加いただき、最前線の情報や思考を共有していただきたいと思う。
もう一つ、困難が予想される除染について、朗報と思われるお知らせをしておきたい。
相変わらず汚染土壌や瓦礫の処理については、借り置場の問題なども片付かないが、東電では、こんな装置を開発したらしい。
(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111001_04-j.pdf)
これは是非ともあと数台作っていただき、除染を急ぐ市町村にも貸し出してほしいものだ。県内では、東電への賠償請求などと同時に健康調査を進められつつある。いずれにしても書類の書き込みがとても煩わしく、検査のほうは検査したとて健康になるわけではない。
例年なら、キノコ採りを楽しむ人々が多い季節だが、今年はそれもできず、栗拾いもできそうにない。
なんともストレスの多そうな、忙しい秋なのである。