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五位鷺

 最近、とても頻繁に五位鷺がうちの池にやってくる。幼鳥のとき親と一緒に来ていたあいつだと思うのだが、もうすっかり一人前である。朝ガラス戸のカーテンを開けると、ゆらりと飛んで少し遠くの木の天辺などに移る。おお、お前かと、嬉しくなったりするのだが、よく考えてみると、べつにあいつはお寺を懐かしんで来るわけじゃない。池の中の魚を食べようとして来ているのだろう。しかし実際に魚を食べる場面を見ていないため、どうしても懐かしさのほうが勝ってしまう。ところが今朝、ガラス戸を開けると、あいつが飛び立ち、そして池の水面が妙に波打っていた。私の心も不穏にざわめいた。そんな場面は予測されていたものの、実際に決定的な場面を見るまでは無意識にあいつを庇いながら見ている自分に気づく。さても人間の認識とは甘いものだが、だいたい池の氷が今年は溶けてしまったからいけないのである。水中で例年になく動く鯉が、五位鷺ならずとも気になるこの頃なのである。