福島第一原発で被災した子供や若者たちの支援を目的に、「たまきはる福島基金」を設立してから、およそ1年半になる。この間、じつに多くの人々に継続的に支援いただき、感謝に堪えない。
個人だけでなく、学校や会社、宗教法人などからのご支援も多い。また国内に限らず、スイス、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、フランスなどの方々からも多くのご寄付をいただいた。
「たまきはる福島基金」のサイトではむろん正式な事業報告をするつもりだが、現在までのある程度の報告をここでしておきたいと思う。
支援金を受け付けはじめた2011年10月以降、拝領したご寄付の総額はおよそ3,000万円にのぼる。
この使い方については、原発によって避難した町村長のご意見も伺いながら、申請のあった案件について主に理事長と事務局とで検討し、決定している。国や赤十字と違い、平等・公平よりも迅速・依怙贔屓あり、を旨として進めてきたのである。
さて、これまで「基金」の事業として支援してきた主な事業をご紹介しよう。
1,「ふくしまキッズ実行委員会」への支援
団体HP:http://fukushima-kids.org/
実行委員会は、以下の基本理念を基に活動している。
(1)実行委員会は子どもたちを福島第一原発の事故問題から守り、子どもたちの健全育成と学ぶ権利を支援することを目的とする。
(2)実行委員会は活動を通し、民間団体、企業、広範な市民の協力関係を作りだし、共助を基本とした社会を作りだすことを目的とし、行政と連携して活動を進めていく。
2,「NPO法人移動保育」への支援
団体HP:http://kidsbrain.jp/fihp/sitemap.html
福島県内で生活するたくさんの子ども達が、のびのびと笑顔で暮らせる環境を作ってあげられたら……。幸い、県内にも他県以上に放射線量が低い地域はたくさんあります。日々、そんな地域まで移動し、乳幼児や小学生を預かって保育することで、少しでも子どもたちの被曝を抑え、放射線に対する不安を軽減しようとする取り組みです。
3,「NPO法人 ハッピーロードネット」への支援
団体HP:http://www.happyroad.net/hrn.html
東日本大震災、福島原発災害によって被災した福島県の中学生・高校生を対象に、「3・11に関する今の率直な思い」や「愛するふるさと、福島」を題材にした作文集発行を企画いたしました。
真実を正確に後世につなぐばかりでなく、福島の将来を担う若者たちが今なにを考え、この現実をどのように受けとめているのか、知りたいという思いもありました。20年、30年、50年後の子ども達に語り継げる書籍を作りたいと思いました。
(これは3月15日、『ふるさと』~双葉郡の子供たちからのメッセージ~として私の許に届きました。お求めになりたい方はHPまでお願いします)
4,「ベテランママの会」への支援
団体ブログ:http://ameblo.jp/1130gokusen/
放射性物質による健康不安を抱える住民の多い南相馬市において、未成年者の子供・若者を持つ親が気軽に子育て・医療知識を得られる相談窓口として、南相馬市立総合病院の協力のもと、医療相談会を県内各地及び県外でも開催する。
5,「田村市ミニバスケットボール連盟」への支援
当団体は原発事故により、田村市に避難している相双地区の子供たちが、バスケットボールをとおして交流を深めることを目的とする。練習試合開催などを支援する。(田村市に避難している葛尾村の関係者が主体となって実施)
6,新潟県柏崎市からの図書の贈呈事業
「たまきはる福島基金」のメンバーが柏崎市に居住していることが縁となり、同市西山村の公民館閉鎖に伴い、所管している図書の寄贈を受けることが可能となった。人員を出し、運搬・移動することで双葉郡の2町村に計8千冊の図書を寄贈した。(2013,3/1 富岡町に3千冊、葛尾村に5千冊)
以上のようなささやかな活動だが、お陰さまで順調に滑り出すことができた。しかしまだまだこれは端緒であり、船出に過ぎない。今後とも各所に支援を続けるのは勿論のことだが、これも皆さまの温かいご支援あってのことと深謝申し上げたい。
じつのところ未執行の予算もまだ残っている。メンバーが心を配って動いてはいるが、その目にとまらない活動もあることと思う。支援を求める団体などからの申請を、慎んでお待ちしたい。お問い合わせはご遠慮なく、こちらhttp://www.osyf.or.jp/の「問い合わせ」まで。
末尾になったが、昨日(3月15日)、中日新聞の編集局長だった加藤幹敏氏のご遺族から200万円のご寄付をいただいた。加藤氏の後輩だというお三方(編集局次長の臼田氏、社会部部長の島田氏、そして福島特別支局の井上氏)がわざわざ届けてくださったのである。衷心から感謝申し上げたい。
この機会にと思い、「たまきはる福島基金」の現在を、概略ではあるがご報告してみた次第である。
2013, 3/16 玄侑宗久 拝