震災から3年余りが経ち、半壊になった庫裏や本堂の改修工事をようやく始めることができた。5月から本堂を囲んで足場が組まれ、現在は古い屋根に載っていた茅を外す作業が続いている。
毎朝職人さんたちが井戸端で頭から水を被る。屋根の下の茅をはずす作業は相当に暑いのだろう。帰りにもまた頭から水を被り、体に溜め込んだ熱を冷ますのである。
ところで今回の普請は、予算規模からいっても、おそらく現在の仮普請の本堂・庫裏が、214年前(寛政12年)に建てられて以来のことだろうと思う。我が三春町周辺も震災では被災した家々が多く、なかなか御寄付のお願いができなかった。恰度震災の年の春から屋根替え工事は計画していたのだが、不慮のことで、御寄付のお願いそのものが今年までずれ込んでしまったのである。
事情を知る檀家さんの多くは、自家の窮状にもかかわらず、越格のご協力をしてくださった。本当にありがたい。檀家さん以外の旧知の人々にも、ずいぶんご協力いただいた。お陰さまで工事は無事始まったのだが、じつは現状ではまだ予算に届いていない。
今年は櫻の季節から、ご参詣いただいた方々にも「銅板代」としてご協力をお願いした。最近では、講演に出かけた先でも「勧進帳」をお渡しすることもある。
とにかく、かすかな御縁にも縋りながら、御寄付をお願いしている。
読者の皆さんにも以下の「勧進帳」をお読みいただき、伏して事業への奉加をお願いする次第である。
2014年6月17日
福聚寺住職 玄侑宗久 拝
福聚寺有縁の衆に参り奉る
慧日山勧進番宗久敬って白す。
当山伽藍は神明保護の霊地を選び、永正元(一五〇四)年田村義顕公の懇請によりて此地に移建されしものなり。開創は約六百八十二年前とかや。移築後は、江戸天明年間二度の火災に遭い、ようよう十五年の歳月かけて仮普請の本堂・庫裏を再建せり。その後は茅葺き替え、トタンを被せ、塗料塗り替え等数多(あまた)の勧進喜捨を賜りつつ養生保全を図りぬ。
扨(さて)そろそろ屋根替え勧進をと思いし春、平成二十三年弥生十一日未刻、おびただしく大地震(おおない)(那為)振(ふ)り、堂宇まさに『方丈記』の語るに似て、「塵(ちり)灰(はい)たちのぼりて、盛りなる煙の如し」。堂舎は全からず、庫裏の柱ひしげて壁割れ、更に石碑は転び出でて地に倒れたり。
復旧に奔走し、割れ目を塗湖し、待つこと三年にして恐る恐る威風を企て、此度の勧進に及びしものなり。茲に十方同心の縁ある衆生に謹んで白す。
吾れ、各々個々の貧富を問わず、縁の深浅を顧みず、老若男女に関わらず、只伏して我が堂宇伽藍の再興のため、喜捨を乞うもの也。
願わくは屋根銅板一斤、否、一木半銭と雖も、各々其の奉加(ほうが)の志を遂げ、以て上求菩提(じょうくぼだい)に結縁(けちえん)せられんことを。
ああ、与善の輩、結縁の人よ。我ら必ずや汝の奉加を得て宿願を遂げ、歴代の篤志に才(わず)かに比せん。各々福を得ること海の如く無量なる乎。
平成二十六甲午歳 弥生吉祥日
慧日山福聚寺第三十五世 勧進司席 玄侑宗久敬白
福聚寺堂宇平成大改修事業 建設委員会一同 羅拝
なお郵便振替口座は、以下のとおりです。
02230-1-137080 (加入者名)宗教法人 福聚寺
※通信欄には、「平成大改修工事への御寄付」などと書いていただければありがたいですが、専用の口座ですので、単に「御寄付」だけでも結構です。
※また必ずお名前御住所等はお書き下さい。領収証を送付させていただきます。