「泣きっ面に蜂」とは、今回の新潟のことだろうか。台風で地盤も緩んでいたところに地震。本当に気の毒だと思う。田圃もどうなっただろう。最初の揺れのとき、私は地震に強いと言われる帝国ホテルで対談していた。対談相手の香山リカさんの、揺れに対する敏感さには驚いた。まだ私や編集者が感じていないうちから予震を察知し、立ち上がったのである。運動は苦手だと仰っていたが、あの敏感さはタダゴトではない。病んだ精神に向き合うときも、きっとあの絶妙な平衡感覚が働いているのだと思った。新潟の人々は昔から辛抱強い働き者だと言われる。江戸に出てきて湯屋を営んだ人には、越後や越中の人々が多かったらしい。湯屋と辛抱がどう関わるのかは知らないが、今回の災難も、辛抱と楽天の気分で乗り切ってほしい。それはきっと、敏感さと鈍感さを同居させる智慧かもしれない。ところで話は違うけれど、今月25日の坐禅会は講演のため中止にしましたのでご了承ください。