昨日は第5回の復興構想会議があった。しかし私は、午後1時からの会議に先立ち、午前11時から内閣府本部で数人の人々に会った。まるで出来の悪い生徒が補習授業を受けるみたいだが、そうではなく、私が前回した質問に、厚労省や文科省、農産省などそれぞれの立場から返答を用意してくれたのである。
私が質問したのは、
1.今回両親または片親をなくした子供たちの現状と里親制度について、
2.雇用調整助成金の活用範囲について、
3.風評被害を防ぐための民間広告会社の活用について、
4.今後の義務教育の教科書における放射線教育の在り方について、などである。
皆きちんと資料を持参し、詳しく説明してくれた。名刺を見ると、みな内閣官房の一員なのだが、いずれも最近各省庁から対応力増強のために移動になったらしい。
5月12日現在、両親ともいなくなった子は141人だが、これは今後も増える見込みである(約半数は元々片親だった)。2人を除くと今はみな親族と一緒におり、里子に出したいという希望は聞かれないらしい。これも今後どうなるかは分からない
が、里親希望の申し込みは岩手、宮城、福島各県の数カ所にある児童福祉事務所まで。関東各県では都庁や県庁にその窓口があるようだ。
また雇用調整助成金とは、景気悪化など経済的理由から雇用維持が難しくなった場合に、なんとか解雇せずに雇用を保つため、事業主に援助される助成金だが、これが原発から30キロ圏内の事業主には適用されないという。聞くところによれば、30キロ圏外に事務所を移転すれば出る、という話なので、それはおかしいのではないかと、前回私が噛みついたのである。「経済的理由ではない」というのがその理由らしいが、風評被害が二次的に経済的理由になりえていると、私は主張した。それに対する答えは、「雇用保険の特例で対応する」ということであった。ご報告しておきたい。
また風評被害払拭のため、民間広告機関など使う意向は、政府にもあるという。これまでも「食べて応援しよう!」など、被災地応援のキャッチフレーズを発信してきたようだ。今後も継続的な発信をお願いしたい。
また最後に、今後の義務教育における放射線教育の在り方だが、これは現在発行されている幾つかの教科書のコピーを持参してくださった。たしかに我々の時代と違ってかなり詳しい内容も記述されている。ただ中学校、高校ともに、原子力については「安全性」がセットで指導されるよう決められている。今回の事故については、理科や物理ではなく社会科の教科書に載るのかもしれないが、2ヶ月後に「炉心溶融」が分かったなどという事実は、いったいどう表現されるのだろう。いずれにしても今後の教科書記述には注目しておきたい。
さて肝腎の復興構想会議だが、まずは検討部会からの報告がなされ、そこには私が以前質問したドイツの配電形式の報告があった。電気の使用者がその発電形式を選べる、というスタイルで、ドイツは一時やっていたらしいのだが、報告によれば、2001年に一つの電力小売り会社が全ての発電形式から選べるスタイルで始めたものの、顧客が集まらず2003年に運用を中止したらしい。その時のやり方の詳細については、今後調べるということであった。
続いてこれまでに出されたさまざまな意見をまとめた冊子が渡された。対立意見も列挙されただけなので、持ち帰り厳禁である。少々驚いたのだが、会議の効率化のためにはやむをえないことかもしれない。内容は8項目に分かれ、昨日はそのうち「まちづくり・地域づくり」「地域産業等の再生」について議論を深めた。
緊急動議としては、再び仮設住宅建設についての市町村の裁量権拡大について、また放射性廃棄物の処理基準を早急に示してほしいと、申し上げた。畑や庭の草もかなり伸びてきた。毟らずに待っていたものの、そろそろ限界が近づいている。毟った草にはきっと放射性セシウムがたくさん吸い上げられているのだろう。であれば、毟った草は、どうすればいいのか、という問題である。地域の「燃えるゴミ」として焼却場に運ばれれば、燃やされて再び放射性物質が飛散する。それでいいのか、それがいけないならどうすべきなのか、早急に示してほしいと思う。私自身は、宇宙農業の山下雅道氏のいう「高温好気菌」に期待しているのだが、これも草などの体積を100分の1程度に縮小させ、処理しやすくなるだけで、放射能がなくなるわけではない。いずれにせよ、これらの処分法についてさまざまな叡智を求め、基準作りを急いでほしい。(2011.5. 15)