先日、映画「アブラクサスの祭」の試写会が東京であった。桜が満開で、しかも強風の吹き荒れた日だった。そういえば、約10年前に芥川賞を受賞したときも、嵐の晩だった。縁起のいい嵐とは関係ないのだろうが、映画の出来も素晴らしく、非常に印象深い夜になった。スネオヘアーさんやともさかりえさん、小林薫さんや本上まなみさんらの出演者、スタッフを初め、作家の湯本香樹実さんや道尾秀介さんも忙しいなか、駆けつけてくださった。上映後、私は空腹のまま飲むばかりだったせいか結構酔い、「アブラクサス状態」になったことを反省している。それにしても、道尾さんが原作者以上に泣いていたことが忘れられない。どういう感性なのか、その秘密は、あるいは最新作の『光媒の花』を読めばわかるかもしれない。6つの物語が、リンクしながら螺旋のように絡み合い、ゆらめくように大きな物語として立ち上がってくる。
影が多いだけにレンブラントのように鮮烈な光を放つ。彼はきっと、人並みでない敏感な円錐細胞をもっているのだろう。
アブラクサスの祭 試写会
書籍情報

題名
      アブラクサスの祭
      出版社
      新潮社
      出版社URL
      
      
      発売日
      2001/10/10
      価格
      1260円(税別)
      ISBN
      9784104456024
      Cコード
      
      ページ
      152
      当サイトURL
      
    
題名
      【文庫】アブラクサスの祭
      出版社
      新潮社
      出版社URL
      
      
      発売日
      2006/1/1
      価格(税抜)
      323円(税別)
      ISBN
      9784101166520
      Cコード
      
      ページ
      149
      当サイトURL