タグ: 放射能

除染

 今朝の新聞で、県内の学校の校庭について、文科省が表土と下層の土を入れ替える方法を提案したことを知った。早速今日、福島大付属中と幼稚園でさまざまな深さで検証したらしい。これはいわゆる「天地返し」と呼ばれるやり方で、二度と放射性物質が降ってこない限りにおいてのみ有効な方法である。ひっくり返したあとでまた降ってきたら今度はどうしようもない。
 だから今後原発が無事収束するなら、これは有効である。放射線研究機関「日本アイソトープ協会」の研究報告では、深さ40センチでの置き換えなら9割減、60センチの置換だと百分の一に減るという。チェルノブイリ原発事故後の土壌改良においても採用された方法だ。
 こうなると、先に表土を削り取った学校の土の処分法が気になる。やはり深い穴を掘って埋めてしまうのが最善なのだろうか。放射線に詳しい知人は、1.5センチの厚さの鉛の板で囲むこと、また鉛入りのブロックを積んでの遮蔽などを勧めているが、予算や労力との兼ね合いはあるにしても、いずれ子供たちの安全を第一に考えてほしいものだ。
 国や県も、ようやく原発から20キロ・30キロ圏内の除染について組織を立ち上げつつある。
 問題は、それほど深刻ではないにしても、明らかに汚染されてしまったその周辺地域の除染である。知人は50歳以上の町民や避難している人々も雇い、集塵機のようなもので道路上のセシウムを吸うことでずいぶん違うと言う。予算をどこで作るかはともかく、それも新たな雇用になるというのである。郡山市の下水処理場から高濃度のセシウムが検出されたのも、路上のものが流れ込んだと考えていい。せめて梅雨が来るまえに、そのような一斉作業ができないものだろうか。吸い集めた放射性物質は、とりあえず鉛で囲んだドラム缶に入れよと言うのだが、これも手仕事で作り、どこかから労賃を捻出すれば行政による雇用機会になる。
 比較的線量の低い地域での農作業についても気になるところだ。農林水産省の研究技官によれば、三春くらいなら耕してしまい、カリウム肥料をたっぷり与えるようにと言う。(ただし耕す深さは15センチ程度にしておき、もしもの時に天地返しできる余地を残しておく)植物はカリウムと間違ってセシウムを吸うので、そうすればあまりセシウムが吸い上げられないらしい。
 しばらく耕作せずに見守りたい、という人は、雑草をどんどん生やし、一面に生えそろった時点でそれを抜けばかなり除染されるようだ。(この場合はむろんカリウムなどは与えない)抜き取った雑草は、宇宙農業を研究している山下雅道氏などの言う「高温堆肥菌」で体積が100分の1にできるという。セシウムの濃縮された草はやはりドラム缶に入れておくことにしよう。
 最終的にドラム缶の中身を除染する方法は、今はまだ明確ではない。私のところに送っていただいた不思議な水や活性炭素系黒体などは、農林水産省に転送し、検証していただいている最中である。
 エライことになったものだと思う。しかし一方で私は、放射能に対して過敏になりすぎることでストレスを溜めることも気になる。チェルノブイリでもスリーマイルでも、ストレスのほうが問題だったという報告さえあるのだ。
 だいたい、日常意識していなかっただけで、我々の周囲には必ず放射線があるのだし、我々自身の体からも出ている。それがどの程度増えたのかと考える必要があるだろう。飛行機に乗っても、バナナを食べてもじつは被曝している。(バナナ一本にはおよそ20~30ベクレルの放射性カリウムが含まれている)少量の放射線(100mSv/year以下)は、生命体を刺激して免疫力を上げるという説さえあるのである。私はもう55歳になったので、そう考えることにした。
 ただし子供たちについては、万全を期したいと思う。まだ未検証のことが多いとはいえ、妙な実験は許されない。