日: 2005年4月30日

菊桃

桜が終わるとなんとなくホッとする。終わるという言い方は適切じゃないだろう。桜とすれば展開しただけ。むしろ旺盛な生命力を今こそ感じる。萌え出る葉と、結実の準備。人間でいえば壮年期の風情だろう。そんな時期に、きのう、菊桃という花木を植えた。瑞々しく濃い紅色が、純情で濃密な少年や少女を思い起こさせる。しかしそんな魅力を感じるのは、明らかに中年の今。少年や少女の魅力は、おそらく中年期に概念化されるのだろう。菊桃の花色は、ハッとするほどに濃い。濃くてもいいのだと思えるのは、人生を深くても淡々と横切っていくスベを覚えた、中年期以降なのだと思う。加齢は本当に嬉しい。