日: 2008年10月31日

春に百花あり

先日、檀家さんの娘さん夫婦がお寺にやってきた。大きなお腹で、11月には子供が生まれるらしいのだが、名づけで迷って相談に来たというのだった。かと思うとその翌日には、やはりお腹の大きい別な新婚の二人が来て、自分たちの部屋の電灯が夜になると勝手に点いたり消えたりするから、なんとかしてほしいと云うのだった。私はぼんやり無門慧開禅師の言葉を憶いだしていた。「春に百花あり夏に涼風あり、秋に月あり冬に雪あり。もし閑事の心頭に掛かる無くんば、即ち是れ人間の好時節」。二組の若い夫婦に、里の紅葉はどれほど違って見えていることだろう。かく云う私も、短編を終えてようやく銀杏の黄葉に眼がいった。