日: 2011年4月1日

いったいどうなっているのだろう

連日、いろんな方からメイルや電話などをいただく。有用な情報もあれば、ストーカーじみた連絡までさまざまである。これまで、非常にありがたかったのは東京大学理学部のとある先生からの情報である。原発問題が起こった当初からいろいろ示唆・助言をいただき、お陰で今回の事故が水や水蒸気を含んで飛散した放射性物質によるものだ、ということも報道より早く知ることができた。というのは、アメリカのシアトルで観測された放射性物質の量と種類から、ワシントン大学の研究チームはすでに25日時点で論文を発表しており、その論文の要約と解説とをその先生が送ってくださったのである。高濃度の汚染水で作業員3人が被曝するまえに、アメリカでもそこまで判っていたのだ。科学的なデータさえ詳細に発表してくれれば、それをきちんと分析できる専門家は世界中にいるのだろう。ところが肝腎なそのデータが公表されず、「直ちに健康に影響する値ではない」などという解釈混じりの報告ばかりがなされている。そのことに、先生も憤りや苛立ちを禁じ得ないとおっしゃる。今回、国際原子力機関(IAEA)の調査で、福島第一原発から北西に40キロ離れた飯舘村の土壌から、IAEAの避難指示基準の2倍に相当する放射性ヨウ素131やセシウム137が検出された。IAEAのこの発表と要請に対し、国は「避難の必要はない」としたわけだが、これに対しても先生は、非常に危惧されている。「IAEAの提出したデータに対し、セシウムの土壌汚染に関する日本の原子力安全委員会の見解は甘いように感じます。どうしたら国の指針をまともな方に変更してもらえるかについて、私は何もできずやきもきしております」というメイルをくださった。むろん素人の私としては何も言えるものではないが、少なくとも県内野菜の全面出荷停止のときのような大胆なやり方は、人間の居住については用いないということのようだ。現実に、移動先を見つける困難さや土地への愛着もあるから、地元とすれば国の判断を歓迎しているようにも見える。しかしここは考えどころだろう。国のやり方に矛盾を感じるのはおそらく15日界隈の放射線観測結果を隠しているからではないか。この際すべて正直に打ち明け、世界中の専門家に意見を聞いてみてはどうだろう。そんなことを書いている最中、東電がこれまで発表してきた基礎データに算出プログラム上のミスがあり、計算しなおす、という発表があった。いったいどうなっているのだろう。原爆投下のような事態であれば、広がる放射線量はたしかに距離の二乗に反比例して減少するから、30キロも離れれば限りなくゼロに近づくし、同心円で区切るのも理解できる。しかし今回の事態は、そういうものではなく、風向きや地形に大きく影響されることはモニタリングポストの数値によっても明らかである。距離にこだわらず、特定行政区ごとの慎重かつ思い切った判断が必要なのではないだろうか。