日: 2015年1月1日

新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。
 本年の干支は、乙未(きのと・ひつじ)です。乙というのは、甲で芽が出たのはいいけれど、それが真っ直ぐに伸びられない状況です。外界の寒気、抵抗、内部の不和など、いろいろ原因は考えられますが、逡巡も大きな要因かもしれません。「乙乙(いついつ)」という熟語はああでもない、こうでもないと、悩み迷うことです。
 また「未」というのは、「木」の上層部に枝葉の「一」が茂りだした状態です。枝葉が繁茂すると暗くなるので、「未」も「昧」も「くらい」と訓みます。枝葉末節は払い落とし、暗くしないというのが「不昧」です。しかし枝葉はこれからますます生えてきますから、途中の現状は「いまだし」「まだまだ」という意味にもなります。
 また「未」は動物の「羊」にも通じ、「和合」を象徴します。
 福島県に限らず、東日本大震災から復興しつつある被災地の状況として考えれば、さまざまな立場を超え、枝葉は払い落とし、和合第一に進めば曲がりかけた芽もまっすぐに伸びだすのではないでしょうか。
 お寺の掲示板には次のような年頭所感を書きました。

  復興要諦一精神(復興の要諦は一に精神なり)
  協力同心須挺身(協力同心須く身を挺すべし)

 どのように身を挺するのかは各自考えるとしても、とにかく「協力同心」こそ、大きな力になるはずです。復興の要諦とは、我々の精神の在り方なのだと、肝に銘じたいものです。
 昨年は、お寺の普請もあり、あまりに忙しい毎日でした。普請は普請として順調に進めるつもりですが、自分の中で曲がりかけている芽とは何かを検証し、枝葉をばっさり払って日当たり風通しをよくしたいと切に願います。
 皆さんにとっても、和合のうちに躍進する年でありますよう、念じてやみません。
 本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

                平成27乙未歳 元旦    玄侑宗久 拝