このところ、毎日のように雷が鳴っている。雨に繋がる雷よりも、降らない雷のほうが恐ろしい、というのは、昔からの言い伝えだが、今日は降らずにゴロゴロピカピカいっている。知人で電力会社に勤めながら雷の研究をしていた人がいた。あの電力を、なんとかストックして利用できないかと本気で考え、仕事として研究していたのだが、不運にも50代の若さで亡くなってしまった。降らずに雷が鳴ると、どういうわけか彼の存在を憶いだす。そうして、雨が降りだすとなんとなくホッとするのだ。まるで龍を生け捕りにするような彼の研究は、やはり成功してはいけないような気がするのである。あ、降りだした。こうして雨が降るのは、龍が無事に逃げおおせたから、という気がする。今は彼も龍の背に乗って楽しんでいるのではないか。