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6月18日と22日の復興構想会議

 しばらく間が空いてしまったが、まずは6月18日と22日の復興構想会議のご報告をしておこう。
 これまでの会議では、じつにさまざまな議論がなされてきたわけだが、18日と22日には最終提案するための骨子案を皆で検討した。
 原案は主に御厨議長代理が作ったのだが、ご本人も「これまでは吸い取り紙に徹してきた」とおっしゃるだけあって、じつにきめ細かく多くの意見が取り込まれていた。持ち帰れず、その場で読むだけ、という形をとったのだが、前文と結びを御厨氏が朗読するのを聞きながら、私はちょっと感動してしまった。
 それは御厨氏のなんとなく雄々しい文体のせいもある。また同時に、私の最終提案がきちんと受けとめてもらえたせいもあるのだと思う。
 じつはそろそろ骨子案の検討に入るという時期になった18日、私は結構大きな提案をしたのである。首相官邸のHPで読めるのでご一読いただければと思う。

http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/pdf/kousou10/genyu.pdf

 要は福島の現状をなんとか奪回するため、2頁以降に書いた「医療・福祉・研究・リゾート特区」構想を提案したのだが、議長は発表の時間が取りにくいということで、事前に御厨氏にその原稿と資料を廻し、御厨氏はその内容の大方を18日に提出する予定だった素案に盛り込んでくれたのである。
 初めての会議の冒頭、「原発の問題は除きたい」と発言された地点からは、遙かな旅路と言うしかない。原発問題について特に一章を設けられた記述にも、私は感動していたのかもしれない。
 しかし細部を読み進めるにつれて、不満が出てくるのは贅沢というものだろうか。
 なにより提案した特区構想から「リゾート」が省かれている。これは現在でも青息吐息な県内温泉業界への救済策でもあったのだが、それこそ贅沢だと思われてしまったのだろうか。
 しかし今の福島県の状況は、甘くない。多くの企業が逃げ出し、ホテルや宿もキャンセルがやまず、予約も入らない。なにより福島空港の海外便が閉じられた状況では、アジアに天翔けて仕事をしていた企業も困り果てているのである。
 じつに豊かな温泉資源が福島県にはあるのだが、これが果たしていつまで持ちこたえられるか、本当に切実な問題なのである。
 明日25日には、最終案が示されるはずである。そこに、前回の修正希望がどれだけ反映されているかに期待するしかない。
 しかし本当の問題は、この復興構想が実施されるに当たり、要約された文章が現実の実施要項にどう解凍されるか、にある。検討部会に具体的な検討もいただき、それを凝縮、というより要約したような文章になっているから、解凍されたときに同じ具体に還元されない懼れもあるのである。
 ともあれ、明日、ようやく第一次提言がまとまる。
 この二ヵ月半あまりは、本当に濃密な時間であった。官僚と呼ばれる人々にもたくさん接することができた。そして今さらに、被災地で逢った人々の声や姿が浮かぶ。大いなる喪失と、同時に幾多の新しい芽吹きにも各地で接してきた。
 これでいいのか、と思う箇所はまだある。明日は最後の主張をするつもりではあるが、どうなるか分からない。
 もしかすると、それこそ解凍の仕方で工夫するしかないのかもしれない。
 これを書いている間に、松本防災相・環境大臣が、復興相になりそうとのニュースを知った。被災地の人々のために、松本龍氏のこの度の就任(おそらく)を喜びたい。瀧野官房副長官と共に、これまで復興構想会議に最も多く陪席し、毎回真摯な眼差しを向けていた人である。
 最後に一つだけお知らせしておきたい。前回の提言の最後に書いておいたドイツ製のセシウム排出薬Radiogardase Cs だが、すでに厚生労働省の認可を受け、昨年12月から「ラディオガルダーゼカプセル500」として日本メジフィジック株式会社から製造販売されていたのである。ただしこの薬、必ず医師の処方を必要とするから、薬局などでは買えず、この事情はドイツやアメリカでも同様のようである。